さえぎるものがない平らな土地をテクテク歩いて,これは地球を歩いてるんだと自分に言い聞かせる。北海道の観光地をそれもラムサールだかなんだかと言って,自然を誇る地を訪ねるにバスはまずかった。車でないとむだ足ばかり。いなかの観光地は地図も曖昧,バス停はおろか,国道に出る道筋も書かれていない。のに,獣道を抜けるとそこは駐車場だったり。駐車場なら国道へ出られるとあてずっぽうで歩いてみたところ,国道には見事出たが,バス停が全く見えない。そして炎天下テクテク地球を歩くこととなった。
ネイチャーセンター入口
ウトナイ湖は渡り鳥や野鳥で有名なのだが,夏はほとんど誰もいない。承知の上だが博物館風のネイチャーセンターにも誰も来ていないし,パンフレットも補充されていない。季節はずれでも何がしかのインパクトがあると思っていたので残念だ。羽幌の海鳥センターはおもしろかった。羽幌はえらい。
さて,ウトナイ湖を見にいったのではない。苫小牧のホテルでの会合に出席したのだ。苫小牧は20年ぶり,それも仕事で日帰りだったので錦町も表町も寄らなかった。駅が改装されていた。さらに2階から駅前の商業施設に空中回廊がつながっている。聞いてみるとダイエーの残した施設だ。残念ながら中はあちこち隙間だらけ。30年前は苫小牧駅前は再開発で広々とした空間に商工会議所がそびえたっていた。あかぬけた店舗があちこちに新築され若い息吹を感じた。人口もどんどん増え,じきに15万の声もあったと思う。
沼ノ端と札幌方面分岐点では当時まだ新しい陸橋が札幌方面へ多数の車を運んでいたのが遠目に見えた。陸橋はもちろん健在だが,通り沿いの商店街が寂れて見えたのには,バスで私の後ろの席に座った初老の婦人が思わず声をあげた。その先は大型店があったが,閉じている店もあり,なんとも言えない。
苫小牧東部工業地帯開発は1次産業切捨てとした反対運動を超えてきたにも拘わらず,北電の苫東火力発電所だけが煙をはいているのが遠目にみえる優雅な工業地帯だった。このごろは自動車部品工場が進出して活気づいているようだが,街にはその恩恵は不足してるらしい。しかし,バスの沿道には真新しい住宅が軒を並べ,この地に住む人の息づかいを感じる。この息を忘れてはならない。
その深夜,参議院議員選挙で自民党歴史的大敗となる。