そば屋で週刊現代のグラビアを見ていて,思わず目を見張った。グラビアアイドルの胸間を見ていたのではない。袋とじが無くなったことでもない。「錯視」図形が紹介されていて,「消えてしまう点」に,目が点になってしまった。ホームページに掲載されているものを紹介する。
消える錯視というものだ。あさがおと名付けられた幾何学模様を見てみる。視点に黄色い点は見えているのだが,まわりの点が見えない。視点を移動すると視点の移動に伴って小さな点が見えるが,今まで見えていた点が見えなくなってしまう。
自分の目で確かめよとか,この目ではっきりと見たとか,目に見えないものは信じないとか言うではないか。目で見えることが実体として信頼してきたのではないか,人間は。私は近眼でも老眼でもあるが,見えない事はないと信じてきた。見えなかったというのは見逃した=見ていなかったまたは覚えていないということだと思っていた。見ようとしなければ見えない黄色い点がこの図形にある。
印刷工程では点検が随所に入る。ところが見逃すことがある。何人もの目に触れているのに見逃してしまう。ところが,傍からどんな仕事しているのかなと覗くと大きな間違いを発見したりする。例えば色合いに気をとられて,打ち直した文字の誤植を見逃したということがよくある。(沢山あるということではなく,少ない失敗の中に多くあるという意味です。)発注者に校正を依頼したら色のことは色々と言われたが,文字は全く見ていなかったということがある。誤植は印刷屋の責任だろまとで言われてしまう。私は文字校正は白黒で見てもらうべきだと思っている。
黒岳に自生するトリカブトというきれいな色の草花があるが,始めてみたときはなんだこれと思っているだけだけだが,トリカブトという名称や強烈な毒を持っていることなどを知るうちに,どこに咲いていても見つけることができる。何回も通った道なのに,ここにもあそこにも咲いていて驚く。こうして内的な意識(トリカブトの知識や今頃は咲いている季節だとかの期待)が視覚に影響を与えているのだろうと思う。
どうやら視覚は内的な意識とも関係してくるようだ。当然疑って掛かれば,そこに視点を当てるのでよく見える。全体を見てしまうと結局何も見ていないことになる。
完璧を完壁は誤植が多かった--と思っている人が見ると「完壁」という間違いは見逃さない。かんぺきと来たらもう土か玉かに視点を向けて誤植を発見している。注意力はこうして発揮される。経験・知識と眼球の移動である!
北岡さんのホームページからお知らせ
NHK「
爆笑問題のニッポンの教養」に北岡と錯視デザインが出ます。11月27日(火)午後11時〜11時半放送です。爆笑問題さんとお話しましたよ!
ダイセツトリカブト
グラビア
1)グラビア印刷 凹版印刷のこと。インキの部分がへこんでいるのでインキ厚を高めることができる。金属ドラムを酸で腐食させたり,レーザーで彫刻する。金属ドラムが巨大で,版の製作が高額なので高級美術印刷に使うことがあるが,ほとんど平版オフセット印刷に置き換わっている。凹版印刷は特殊インキを使えるのでプラスチィックフィルム印刷に多く利用されている。
2)グラビアページ グラビア印刷された主に写真を印刷したページ。写真ページ,口絵ページ。平版オフセットがまだ未熟であった頃は写真はグラビア印刷だったので写真ページをグラビアと称した,その名残。