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リバイバル急行『大雪』&『JR20周年号』で行く
函館クリスマスファンタジーの旅(2)
(2007/12/15)
小樽駅のホームでは、通称『鉄ちゃん』や『鉄子ちゃん』と呼ばれる、鉄道を愛する人達が、『リバイバル急行大雪号』のヘッドマークや車体をデジカメやビデオカメラで撮影を始めている。中には生録機材を担ぎながら、撮影から録音までを忙しそうにこなしている『鉄ちゃん』もいるのだ。時間との勝負だから真剣そのもの。先頭車両から最後尾まで行ったり来たり、ホームの階段を登ったり降りたり、兎に角忙しいのだ。のんびりしている場合ではない。発車時刻は刻々と迫ってきている。
その姿を見ているうちに、私も昨年の『特急おおとりで行く函館クリスマスファンタジーの旅』で、『鉄ちゃん』達にもまれ鍛えられたあの感覚が蘇って来た。『鉄ちゃん』程ではないにしても、記念写真くらい取らないと…と、いつの間にか体は自然に動き、鉄ちゃん達の先頭で写真を撮っていましたよ。うーーん素質あるかも。
一緒に写真を撮っているうちに去年の旅でも一緒だった『鉄ちゃん』がいる事に気づいた。記憶に残っている顔だけでも7〜8人。…言葉を交わしたわけではないが、何故か親近感を持ってしまう。再会出来て嬉しいですよ。
車内に戻ると、向かい席のご夫婦も目を覚ましておられた。私の顔を見るなり、『どちらからご乗車ですか?』となんだか嬉しそうに声を掛けていただいた。これが列車の旅の良い所だよなー。ボックスの中でこれから函館までの旅を一緒に過ごすんだから。何もしゃべらない人もいるけど、挨拶をするだけでも心が通う気がしますよね。
初老のご夫婦は、網走からの旅人。2人で函館に行ってみよう…と選んだのがこの特別列車だとおっしゃる。ご主人が昔仕事で、良く利用した寝台車に夫婦で乗りたかったそうな。この寝台車が無くなったおかげで、網走からの交通の便は随分と不便になったとこぼしておられた。
この寝台列車は、上下2段のベットが備え付けられているが、日中は下段のベットが座席になる。この座席に2人が座るのだが、この広さがなんとも言えず良い。快適な広さなのだ。料金も高いのだろうが、このゆったり感がたまらない。函館までの旅も良い旅になりそう…な気分になってくる。
小樽を出ると余市までの30分程が朝食タイム。我々3人は、網走のご夫婦の美味しそうな駅弁を横目にコンビニ弁当で朝食…やはりコンビニ弁当はどこで食べてもコンビニ弁当の味なのだ。
食事をしながら、僕らの弁当だけコンビニ弁当になった経緯や、函館行きの経緯を話してみたが、理解していただいたかどうか…。でも、お2人は楽しそうに聞いて下さった。
さて、ご夫婦は、全国の『鉄ちゃん』注目の列車とは知らずに乗ったため、時々、デジカメ2台を首から提げて、両手に録音機材をもって通路を行ったり来たりする小学生の2人組みに興味津々。更に、沿線でカメラを構える人影にも、『何でこんなところに? ほらあそこにも、あらーあそこにも並んでいますよ』と言う奥様に『すごいねー』と頷くご主人。函館までの間、更に翌日の旭川までの沿線に、この列車を狙って沿線で待機していた『鉄ちゃん』カメラマンは、延べ100人は下らないだろう。函館本線各地の『鉄ちゃん』の皆様、お疲れ様です。
余市を出た頃から、雪景色が広がり始めた。100年の歴史がある
トンネル餅(すあま)が有名な小沢(こざわ)を過ぎて倶知安、ニセコあたりでは、左手に羊蹄山、右手にニセコの山々が望めるビューポイントだ。羊蹄山は頂上付近が雲に隠れて、勇姿を望むことが出来なかったが、いつ見ても存在感のある美しい姿をしている。
JRの勝又さんに教えられたとおり、駅前のコンビニに行こうとキヨスク(kiosk)の前を過ぎようとした時、『かに飯 五、六分で出来ます。』の張り紙が目に入った。『駅弁だーー。』っと言う事で早速注文すると、本当に5分ほどで駅前の『
かにめし本舗かなや』さんから『かにめし』が届けられた。長万部で念願の駅弁を味わう事ができた。
10時20分に長万部に到着。40分の停車となるが、ここで昼飯を調達しなければならない。『弁当自前ですか?』と心の中でぼやきつつ、ホームに降りて跨線橋を渡り駅舎へ。乗車証を首からぶら下げていれば、改札口はフリーパスなのだが、どこの駅も確認しているようには見えないのだけれど、気のせいだったかな?
長万部を出ると後は函館まで2時間30分程だ。相変わらず、『鉄ちゃん』は、忙しそうに前に行ったり後ろに行ったり。車掌に『いやー久し振り。元気だった?』なんて挨拶する『鉄ちゃん』や、最初から最後までJR関係者のようにサポートしている『鉄ちゃん』がいたりと、JRファミリーと言えるような、人の繋がりで運営されているツアーなんだなーと、ほんわか心が温かくなった。
長万部を出ると内浦湾を左手に望みながら南下していく、駒ヶ岳の美しい姿も雲に隠れ、楽しむ事は出来なかったが、大沼小沼などを楽しみつつ、函館に向かって行った。
12月1日午後1時30分、函館に到着。函館駅は上から見ると、「ヨ」の字にプラットホームが並んでいて、頭端式ホームとか櫛形ホームと呼ばれているらしい。階段も無くフラットで見晴らしが良く、人に優しいホームだ。線路が行き止まりになっており、車止めが目の前にあったり、列車の先頭を見ながら歩く事が出来るのなど、いつもと違う目線で楽しめる。北海道では函館駅だけがこのスタイルになっている。新築間もない魅力的な駅なのだ。
ツアー客はこの函館駅で解散、後は自由行動になり、また明日この駅に集合だ。宿泊は湯の川温泉組と駅前のホテル組みとで分かれるのだが、函館市街を歩く目的の我々は駅前ホテル宿泊となった。網走からのご夫婦は、湯の川温泉に宿泊するので、ここで一旦お別れだ。荷物をホテルにおいて早速函館散策。相棒は楽器店に興味があるらしく別行動になった。いよいよ函館の町へ続く。