可憐な花を沢山咲かせていた常磐公園の梅の木
昼休みの散歩コースとなっている常磐公園に梅の木が1本ある。
平成23年財団法人旭川公園緑地協会発行の「常磐公園」というパンフレットでは、梅の木が写真入りで次の様に紹介されている。
「古木ながら丹精込めた手入れのもとで、今ではとてもきれいな淡紅色の花を咲かせます。」
パンフレットに写真入りで紹介されるのだから、常磐公園を代表する樹木の一つとみて良いだろう。
冬囲いも数年前からブルーのネットで覆われ、大切に守られるように冬囲いされていた。春には美しく可憐な白い花が咲き、その数は年々増え、常磐公園を散策する人々の目を楽しませてくれていた。黒っぽい太い幹と枝が作る直線的で独特な樹形は力強く、その樹形に白い花が可憐に咲く姿は、凛として美しく、その姿に日本を感じていた。残念なのは木の周りが整理されていなく、凛とした美しさを浮かび上がらせるようなデザインがされていなかった。
その梅の木が昨年末から冬囲いされずに冬を迎えた。「冬囲いを放棄した?それとも枯れてしまった?」と梅の木の前を通るたびに同じ事を考えていた。やがて春を迎えるが、梅の木は白い花を咲かす事は無かった。なんとなく寂しさを感じる春の散歩になった。
初夏を迎える頃、市公園緑地協会に梅の木の件を問い合わせしてみると、次の様に答えてくれた。
「該当すると思われる梅の木は、幹の空洞化や腐朽が進み、毎年防除や殺菌剤等の処置を施しておりましたが、急激に樹木の道管の腐朽が進み、残念ながら枯死してしまった事を確認し、昨年度の冬囲い作業を見合わせました。このことについて、旭川市にも報告を致しておりますが、樹木の処理につきましては、旭川市の指示が出次第、実施することになると思われます。今後とも、公園に関するお問い合わせ、お気づきの点がございましたら、ご連絡ください。 公益財団法人 旭川市公園緑地協会」。
古木の最期はこんなにあっけないんだな。梅の木が枯れてから1年、まだ処理の行方はまだ決まっていないようだ。独特な樹形のまま、冬を迎えようとしている。
梅は、「春告草」、「風待草」などの別名があるそうだ、なんとも日本的で素敵な名前をつけたと思う。
奈良に居た頃、2月〜3月にかけて奈良公園や薬師寺、菅原天満宮などで梅や桜を楽しんだが、その色の濃さや花弁の多さから力強さを感じる。それに比べ旭川の梅と桜は可憐で儚さを感じ、やさしい気持ちになる。
梅と言えば、福岡県太宰府市宰府にある太宰府天満宮に、「飛梅(とびうめ)」と呼ばれる有名な梅の木がある。(
Wikipedia参照菅原道真の「飛梅伝説」から名づけられているようだ。私は、さだまさしの曲「飛梅」からその伝説を知ることになった。
梅の木を見るとさだまさしの「飛梅」のメロディーが浮かんでくるのだから、強い印象が心に植えつけられているのだろう。間もなく姿を消す事に梅の木に変わり、新しい白梅を常磐公園の一番見栄えの良い所に植えて欲しいと願っている。
(おさらっべのカワセミ記者)